信用金庫向けAIレポート自動化の実証レポート

AI・ソリューション実証室

はじめに

生成AI(Generative AI)の活用は、従来の定型業務における効率化だけでなく、知識労働の高度化・省力化をも実現する技術として注目されています。信用金庫では、地域経済に密着した業務特性を持つ一方で、日々の情報分析・レポート作成といった業務に多くの時間を要しています。

本記事では、生成AI(GPT)を活用して、ニュース収集 → 要約 → レポート作成 → 上司報告までの一連の流れを自動化する取り組みについて、試行したプロトタイプとその効果、今後の展望をまとめました。


実証の目的

  • 経済・政治・金融動向に関する最新情報を日次/週次で取得・要約できる体制を構築する。
  • 各部門(経営、融資、営業など)のニーズに合わせたAIレポートのひな形を整備する。
  • 閉域ネットワーク環境でも動作する自動化構成を検証する。

実証構成と使用技術

オンライン試行構成(PoC)

  • 情報取得:Google News RSS、官公庁Web(スクレイピング)
  • AIエンジン:OpenAI GPT-4 Turbo
  • レポート出力:Word形式(python-docx)
  • 自動実行:cron / Power Automate

閉域ネット試行構成

  • 情報取得:手動取り込み(PDF、Word形式のニュース記事)
  • AIエンジン:Azure OpenAI(仮想ネット)、ローカルLlama 2
  • 出力形式:イントラ向けWord、PowerPoint、HTML
  • セキュリティ設計:データ匿名化、ログ出力制限、FISC対応設計

成果と効果

  • 作業時間削減:例)平均1本30分かかっていた記事要約+レポート化が、約5分に短縮
  • レポート品質向上:例)経営者視点を盛り込んだ要約が可能に(「対応提案」「リスク観点」など)
  • セキュリティ担保:例)閉域環境でも同等のプロセスを再現可能で、個人情報・顧客情報も非依存化

導入候補部門と用途例

部門用途レポート例
経営企画経済動向速報「日銀政策変更と地銀への影響」週報
融資審査業界トレンド要約「建設業界の資材高騰と貸出方針」
営業支援顧客提案資料化「相続税改正による資産運用ニーズ分析」
コンプライアンス改正法令要約「マネロン関連法改正要点」速報

今後の展望

  • 各部門用のテンプレートを拡充し、入力→出力のプロセスをGUI化(ノーコード連携)
  • Azure OpenAI+Teamsでの週報配信を自動化(イントラ連携)
  • 質問応答型の社内ナレッジボットと接続し、全文検索と解説を可能に

おわりに

信用金庫では、生成AIを「情報の翻訳者」として活用することで、現場業務を支援し、報告精度とスピードの両立が図れます。本実証をもとに、今後さらに多様な業務ニーズに対応可能はソリューション・パッケージの発掘に進みます。


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TODO

  • [閉域ネットでのAI活用構成]

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